世紀末家族団欒の光景
2022-12-21お茶の間という。お茶の間とはTVがある部屋とnearly equalだ。かつては一家の団欒はお茶の間でとられてきた。だから、お茶の間に子どもが留まらないTVつき子ども部屋は「家族の紐帯を崩すもの」として目の敵にされた。今やお茶の間や子ども部屋どころか誰もがいつでも手元のスマホから好きなものを見られる。隔世の感がある。
だから、これは、あるいは旧時代の名残なのかもしれない。相方やその家族を見ていると、家族で食事をとる時には決まってTVをつける。TVに「ツッコミ」を入れながら会話をする。時には「ツッコミ」に専念しすぎて、肝心の話についていけていないという場面も散見される。家族の歴史の分だけ積み重ねられてきた日常がそこにはある。
ただ、そうした文化を共有しない者からすると「ちょっとは落ち着いて見たら」と思うし、時に「落ち着いて見させろ」とも思う。先にも書いたように、そこではTVに映っているもので他者の興味関心を惹こうとすることに熱心な様が観察されるが、それはTVを通じて家族の紐帯を保持しようとする世紀末の家族像が色濃く残っているとも言い換えられるだろう。
意地悪く言えば、この世紀末家族像もすでにお茶の間のTVにすがらなければ家族で話せる話題がないということもできるのだろうが、それすらもなくなりつつある21世紀の家族団欒像はどうなっているのだろうか。その先には個人の新時代がやってくるのだろうか。