安倍首相の辞任と高校生の話

先日、安倍総理が辞意を表明しました1

テレビでは「世界でもっとも親密なリーダーといわれる安倍総理の辞任は、トランプ大統領にとって打撃になると見られている」と言われました。

たしかに親密さのアピールはされていましたが、シンゾーとドナルドは対等だったのでしょうか。

世界でもっともトランプ大統領と親密というのは、褒め言葉ではないのではないかと思いますが、どうもテレビではまるで偉人が亡くなったかのように、安倍氏の業績を振り返っています。

辞任会見で気になった点

安倍氏の業績についてはさて措くとして、会見を見ていて、とくに気になった点をメモしておきたいと思います。

安倍氏は「病気と治療を抱え、体力が万全でないという苦痛の中、大切な政治判断を誤ること、結果を出せないことがあってはなりません。国民の皆様の負託に自信を持って応えられる状態でなくなった以上、総理大臣の地位にあり続けるべきではないと判断いたしました」と述べています。

しかし、その直後に「次の総理が任命されるまでの間、最後までしっかりとその責任を果たしてまいります。そして、治療によって何とか体調を万全とし、新体制を一議員として支えてまいりたいと考えております」とも言っています。

国民の負託に自身をもって応えられる状態にないにも関わらず、次の首相が任命されるまでの間は首相であり続け、かつ、その後も議員であり続けるというのは、石橋湛山元首相の故事があったにせよ、よくわからないな、ということは思います。

それはともかくとして、再チャレンジできるのはアベさんだけ、と第二次安倍内閣が立ったとき思いました。

今回の辞職ではアベさんが難病患者であることがクローズアップされています。大変だよね、とは思います。

ただ、当事者としてその苦しみがわかるからこそ、政治家としてどのような施策をしたか、が問われるのがアベさんのいう結果責任なのではないか、とも思います。

そして、もっと気になるのは、要するに、難病を抱えている自分は政治家として正常な判断ができない、と受け取られてもおかしくない発言をしていることです。

これは難病の人は政治家になるべきではないと言っているに等しいし、難病の人はまともに仕事ができないというメッセージを出してしまっているのではないでしょうか。

今どき、健全な魂は健全な肉体に宿るというわけでもないでしょう。

かといって、アベさんが八年近くも首相できたんだから、難病もっていても働けるでしょ…となっても、これはかなりつらいことになります。

働ける働けない、というのはそれぞれの背景や事情があるわけで、安倍氏のそれは特殊な一例に過ぎないのです。

安倍氏の難病当事者としてのメッセージというのはだいぶ問題を含んだもののように思えました。

ある高校生の反応

これは相方から昨日、聞いた話です。

高校生が「友達」から聞いた話として「アベさんの後任の“大統領”(原文ママ)は自民党から出さないとヤバい。もし、共産党になったら、学校で中国語を習わされる」と言っていたのだそうです。

たぶん、米国と香港の話とごっちゃになっていますよね。相方はリテラシーが、と嘆いていましたが、リテラシーというのはある程度、知っていることを前提にした話です。おじさんとしては、その高校生たちの社会科の成績が心配になります。

この話は安倍総理の辞任会見がどう受け取られたのかを示す一例として興味深いな、と思いました。


  1. 令和2年8月28日 安倍内閣総理大臣記者会見 | 令和2年 | 総理の演説・記者会見など | ニュース | 首相官邸ホームページ ↩︎