『旅するモヤモヤ相談室』を読んだ
医学生 meet 文化人類学。この本は15人の研究者に「先生って何しているんですか」と元・医学生(今は研修医)が訪ねてまわったインタビューを簡潔にまとめたもの、ということになるだろう。
インタビューした研究者の顔ぶれが豪華だ。引き写すのも面倒なので、公式ページから引っ張ってくるお
- 小川さやか(立命館大学大学院先端総合学術研究科)
- 坂本龍太(京都大学東南アジア地域研究研究所)
- 石井美保(京都大学人文科学研究所)
- 東長靖(京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科)
- 宮本匠(大阪大学大学院人間科学研究科)
- 風間計博(京都大学大学院人間・環境学研究科)
- 前田昌弘(京都大学大学院人間・環境学研究科)
- 岩谷彩子(京都大学大学院人間・環境学研究科)
- 藤原辰史(京都大学人文科学研究所)
- 松嶋健(広島大学大学院人間社会科学研究科)
- 広井良典(京都大学人と社会の未来研究院)
- 山極壽一(総合地球環境学研究所)
関西にはこんなに人類学の有名人がひしめき合っていたのかと驚いた。ほとんど、京都と大阪の大学の人だよね。
編者である木谷百花さんもタイでのフィールドワークで抗生剤耐性菌ができる諸条件をコンプリートしたような現場に出会い、「こういう価値観もいっか」(ダメなんだけど)と納得する体験をしている。医学生らしく現代に生きる日本人に対して先生方の知見からアドバイスできそうなことを処方箋という形で提示しているところがこの本の出色のところ。
ただ、「日本人もこう思えたら楽になるんじゃないか」というアイデアをその研究分野から言わせていくというのは結局、「先生の学問って何の役に立つんですか」と言っているに等しいんじゃないか、と思わなくもない。何かの役に立つことが言えなければ学問の存在価値はない、とならないだろうか。
そう思わなくもないんだけど、読ませるのはやっぱり、日本とは違う、ここではない、いまでもない、どこか、いつかの世界の豊かさが垣間見えてくる、そんな気にさせてくれるからなんだなぁ、と。
面白かった。